第23期会長 今川恭子


第23期会長 今川恭子

 2018年4月1日より,日本音楽教育学会の会長を務めさせていただくことになりました。会員の皆様のお力をお借りしながら,学会のさらなる発展のために全力で務めて参ります。どうぞよろしくお願いいたします。
 1970(昭和45)年に第1回総会及び研究発表会を開催してスタートした本学会は,2019年に設立50 周年を迎えます。学会がこれまでにわが国の音楽教育研究と実践に果たしてきた貢献は多大なものがあります。2019 年度には設立50 周年を記念する『音楽教育研究ハンドブック』の刊行を予定しており,今後もさらなる前進を目指しております。
これからの2年間に取り組みたいと考える課題は3つあります。
 1つ目は,多様性を尊重した研究と実践およびその交流の推進です。会員一人ひとりの立ち位置,音楽教育への携わり方,実践・研究の対象や方法は実に多様です。この多様性こそが音楽教育のバイタリティの源でもあります。広く人間の社会と生涯に目を向ければ「音楽の学びと教え」は多様かつ普遍的に見出され,これは「人が生きる」ことと音楽教育とが深く結びついていることの証にほかなりません。音楽教育の多様な営みに会員がそれぞれの立場で真摯に向き合い,探究を深め,相互に成果を尊重し合い認め合って交流することを,学会として組織的に支え,促していきたいと思います。
 2つ目は,学会の社会的役割を自覚した活動の充実です。研究成果を現場へと還元するのみでなく,実践に学び,実践の中にある知を言葉にすることは,本学会がこれまで一貫して大切にしてきた姿勢のひとつです。この姿勢は継続的に様々な形で実現が図られてきましたが,まだ不十分なところもあります。一方で,社会の急速な変化は次々と新たな社会的要請を生み出しています。情報化,国際化に対応した体制の強化を進めながら,よりいっそう積極的に社会からの声に耳を傾け,直接・間接的に社会に貢献する活動を展開し,社会に向けた発信をしていきます。
 3つ目は学際的研究の推進です。音楽教育の実践と研究は,これまでも隣接諸科学と手を結びながら挑戦を続けきました。そもそも音楽教育そのものが学際的であると言ってもよいかもしれません。人文学,社会科学,人間科学はもちろん自然科学,応用・総合的な科学の諸分野に目を向けると,音楽に熱いまなざしが注がれていることが少なからずあります。壁を超えて刺激を受け,新たな発見に至る可能性を,学会が率先して拓いていきたいと思います。

 3つの課題は相互に関連すると同時に,前期あるいはそれ以前から学会が目指してきたことの延長上にあります。私たちは一つひとつの問題に向き合いながらも,けっして対症療法的に処方箋を考えるだけでなく,問題の本質に向かう姿勢を持ち続けたいと思います。個々の研究と実践は細い1本の流れであっても,それらが学会という舞台で交わり合わさることで大きな力強い流れとなるにちがいありません。学会は,音楽教育に関心をお持ちの方々,音楽教育に様々な立場で関わる方々に広く開かれています。皆様の積極的なご参加とご支援を心よりお願い申し上げます。 



今川恭子